「お前、誕生日ってことなんで言わないんだよ!」

電話越しにギルベルトの怒声を聞いた。



今日は私、の誕生日だったりする。

たぶんルートあたりに聞いたのだろう。

ギルベルトには何も聞かれなかったものだから別にいいかな、と思い何も言わなかった。

「……誰から聞いたのよ」

「ルートに決まってるだろうが」

予想、的中。

「とにかく!今からお前の家行くから待ってろよ!」

…現在21時ちょっと前。

非常に迷惑な時間帯だ。

「いや、来てくれるなら嬉しいけどもう夜だし来なくても(ガシャン!)……」

途中で電話を切られた。

この勢いだと絶対に家までくるだろう。

仕方ないので鍵を開けて待つことにした。



待っていると突然電話が鳴り響いた。

誰だろうと思い電話に出る。

「はい、です」

「あー、か。夜分遅くにすまん」

電話の主はルートだった。

「なんかにいさ…兄貴がの家に行くというメモを残して出て行ったのだが…」

「まぁ迷惑じゃないし別に大丈夫よ、大変ね弟も」

兄は馬鹿だが弟はやたらしっかりしている。

どちらかというとルートの方が不憫に思えてきた。

「とりあえず早めに帰って来いとだけ伝言頼む、あぁ、あと誕生日おめでとう」

「覚えていてくれてありがとう。伝言しておくわ」

「うむ、頼む。それでは切るぞ」

「うん、じゃあね」

ツーという音が聞こえてきたので電話を切ったのだろう。

ちょうどよくインターホンが鳴ったので私は玄関に向かった。



「どちらさまですかー?」

「ギルベルトだよ、お前わかっててやってるだろ」

あら、お気づきのようで。

「ん、今開けるね」

ドアを開けてギルベルトを出迎える。

ギルの恰好はとても寒そうだったのでとりあえず電源が入っていたコタツに入ってもらった。

「ふぁー、あったけぇー…」

「そんな長いTシャツにコート羽織ったのじゃ寒いに決まってるでしょ…」

つくづく馬鹿だなー、と思う。



「紅茶入れようか?」

「ん、じゃあ頼む」

コタツから出てキッチンへ行く。

紅茶の入れ方はよくわからないのでティーパックでいいだろう。

お湯はポットの中にあったはずだ。

……アーサーが聞いたら怒りそうな作り方だ。

どういえばルートから伝言を頼まれていた。

「そういえばギル、ルートが早めに帰って来いってさ」

「あー…あいつ心配しすぎなんだよなー」

弟と兄の立場がすっかり逆転しているように感じる。

いや、感じるんじゃなくて実際そうなんだろうけどね。



紅茶を飲みながら私とギルベルトは話していた。

「プレゼントは用意できなかったんだよなー…」

そりゃあさっき聞いたんだもんね。無理だろう。

「……プレゼントはギルベルトっていうのでもいいけど、さ」

ぼそっと言った言葉が聞こえたらしく顔を赤くする。

自分でも大胆すぎたかと思う。

「本当にそんなのでもいいのかよ?」

いつの間にかコタツから抜け出していたギルベルトに押し倒される。

いやいやいやいや、そういう意味じゃないんだけどっ!

「ちょ、ギル!性的な意味じゃなくて!」

「…あ?」

「一緒にいてほしいなー、ぐらいだから!性的じゃないから!」

理解したらしく再び顔を真っ赤にする。

……でも押し倒されてちょっとときめいたのがなんか悔しい。

「一緒にいるだけでいいのかよ…」

ちょっと悔しそうなギルベルトはなんだか愛しく思えて。

「うん、いるだけでいいの。だって誕生日に一人じゃ寂しいもの」

「ルートには早く帰れって言われてたんだろ?」

確かにルートが早く帰れと言っていたが気にしない。

「大切な日ぐらい好きな人と一緒にいたいじゃないの。ね?一緒にいて?少しの悪戯なら許してあげる」

少しの悪戯に反応する。

やっぱりギルも男の子だなー…。

「まったく…、怒られるのは俺なんだぞ」

「でも一緒にいたいの。ね、お願い」






可愛いワガママ

(そんなに可愛く言われたら断れないじゃないか)





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あれ?なげっぱなし?

…たぶんこのあとさんはギルベルトにおいしくいただかれます。

んで翌日迎えにきたルートにこっぴどく怒られるんじゃないかな!

管理人の年齢によりR-18はかけないんだぜ!

その先は妄想で補完してやってください、な。