「明日暇だったら一緒に出かけねえ?」
そんな一言がギルベルトの口から出てきた。
「何、デートのお誘い?」
少し茶化した言い方で私は言葉を返す。
「たまにはいいじゃねえか、一応恋人なんだし…」
「確かに最近出かけてないもんね、いいよ」
ギルベルトは恋人のあたりで少し恥ずかしかったのか声が小さくなっていった。
「で、どこに行くの?」
「え、あー…どうしよう決めてねえや」
誘った本人は行く場所を考えていなかったらしく少し迷っている。
そういえばお父さんがこの前遊園地のチケットくれたなぁ。
とりあえず遊園地へ行くことを提案してみたらすぐさまOKだったので決定みたい。
当日、電車に乗って向う予定なので駅で待ち合わせた。
来てみたけどギルベルトはまだいない。
少しの時間待ってたらギルベルトが見えたので心が弾んだ。
向こうが私を見つけたみたいで駆け足でこっちに来る。
「遅いよ!ギル!」
「お、おぅ、すまん」
ギルベルトは素直に頭を下げる。
こういうところが可愛くて好き。
「お前私服だと雰囲気変わるな」
「なっ…!偶にはスカート穿くことだってあるわよ、どうせ似合わないんでしょ!」
私だって何度も鏡を見て似合わないって思ったわよ!
やっぱりこういう服はエリザベータちゃんとかが似合うんだろうな。
そんな思いに反してギルベルトは私をまじまじと見つめて一言。
「いやむしろ似合ってる、可愛いぞ凄く」
そんなことを言われるとやたらと恥ずかしくなってくる。
でも嬉しいことに変わりはない。
「それに俺好みの服だしな!」
「兄さんの言った通りだわ…」
スカートは男の浪漫です!と兄、菊が言っていたからスカートにしてみたが効果はあったようだ。
流石菊、しっかり分かっている。
「ほら、早くしないと電車に乗り遅れるぞ」
ギルベルトはそんなことを言い私の手を取って進む。
急に掴まれて驚いたがギルベルトの顔が赤いのが見えてあぁ、ギルもいっぱいいっぱいなんだと思う。
「うん、行こうか!」
ギルベルトの歩く速さが少し早いのでちょっと出遅れた私は駆けて行った。
行ってみた遊園地はとても混んでいてすぐ逸れてしまいそうだった。
「、手ちゃんとつないでろよ」
そういって指をからませてくる。
顔が赤いのが自分でもわかるくらいに熱い。
「お、!あれ行こうぜ!」
「……お化け屋敷?」
私の顔は少し引きつっていたと思う。
なんせ、怖いものがとても……苦手だから。
「なんだ、お前ダメなのか?」
「そそそそんなわけないでしょ!行くよ!」
あぁぁ私なんで見栄はっちゃったんだろう!
でも中に入っちゃったら後戻りできない。
暗い病院なんて一番苦手なのに!
そんなことを考えてたら目の前にいきなりゾンビが現れた。
「ひあぁぁぁぁ!!」
私はとっさにギルベルトの腕にしがみつく。
見上げてみるとギルベルトはそこまで怖くはないらしく余裕の表情だ。
少し走ってゾンビを振り切ったところでギルベルトは口を開いた。
「お前、本当は駄目なんだろ?こういうの」
「本当はこういうのすごく、無理なの。見栄なんて張らなきゃよかったよ。」
そう話している間にもまたお化けが出てくる。
ヒィッ!っと悲鳴をあげた私をギルベルトが引っ張ってくれた。
しっかりと繋がれた手が今はとても頼もしい。
おばけが出てきては叫び必死に逃げる。
そんなことが数十回続いたあと…
「こ、これが最後の部屋ぁ?」
涙声ではギルベルトに問う。
「たぶんそうだと思うけどな、一番怖いって噂だ。目ぇ瞑ってろ、連れて行ってやる」
「ほんと?じゃあギルに任せたよ?」
そういっては眼を瞑りギルベルトの腕にしがみついた。
だがギルベルトは何か考え付いたらしく、を俗にお姫様だっこと呼ばれる抱き方にする。
の顔は赤に染まるが、とりあえずギルベルトの首にしがみつくことにした。
「じゃあ行くぞ!」
「うん、お願い、ね?」
「ほら、外に出たぞ。…大丈夫か?」
ギルベルトは言ったとおりにちゃんと私を外まで連れて行ってくれた。
目を開けたときギルベルトの顔が近かったので恥ずかしかったのは内緒だ。
「ん、あ、大丈夫…です」
「急に敬語とかどうしたんだよ?ほら、降ろすぞ」
そう言ってギルベルトは私を降ろす。
少し残念な気持ちだが降りることにする。
「あ、ギルベルト、ありがとう」
「なんのことだ?俺はただか、彼氏として当然のことをしたわけで…」
あぁ、言葉ではこんなだが優しい彼がとても愛しい。
そんな君だから
私は愛してるの!
(じゃあ感謝とご褒美のキスということで)(ちゅっ)(な、何してんだお前!)
+++
国語の成績に関してはorzなので文章が危ういです。
シチュエーションに関しては某世界一怖い遊園地のイメージ。
ギルベルトはホラーが大丈夫だといいなぁ…。
(一人は楽しい。二人は幸せ。
様に提出 ありがとうございました!)